きよせ季節だより
2016年9月30日金曜日
ハギの花に黄蝶
▲ハギの花で吸蜜しているキチョウです。ハギはキチョウの食草でもあるので、付近を多くの個体が飛び交い吸蜜しています。
ハギといえば、「萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝顔の花」と万葉集で詠まれている秋の七草の一つです。萩を題材にした歌は、万葉集の中で142首も詠まれているそうです。
2016年9月29日木曜日
カシワバハグマとオケラの花
▲中里緑地に咲くカシワバハグマです。本州~九州に分布するキク科の多年草で、夏から秋に開花します。名は柏葉白熊で、柏に似た葉でヤクの白い尾の形をした花ということだそうです。白熊は、お坊さんの使う払子(ほっす)や旗や槍の飾りに用います。
▲こちらは、ほぼ同じ場所に咲いていたオケラの花です。同じく、本州~九州に分布するキク科の多年草です。カシワバハグマにちょっと雰囲気が似ていますが、葉の形や頭花が魚の骨のような苞で包まれていることで容易に区別できます。
2016年9月28日水曜日
百日草の花で仲良く
▲栽培種の百日草の花を訪れている昆虫たちです。ベニシジミとクサギカメムシの幼虫です。ベニシジミは、4月から11月ごろに5~6回の発生を繰り返します。
ヒャクニチソウ(キク科)の花は江戸時代末期の移入種で、春から秋まで次から次へと新しい花が咲き続けます。一つの花が100日も咲き続けるというのではありません。
▲こちらは、チャバネセセリとオオタバコガです。チャバネセセリは初夏から時々見ることがありますが、この時季に個体数を増します。オオタバコガ(ヤガ科)は8~9月の発生です。
2016年9月27日火曜日
ランタナの花にクロアゲハ
▲ランタナの花を訪れているクロアゲハです。翅が大分傷み、尾状突起もなくなっていました。クロアゲハは4月から9月ごろまで3回の発生なので、これが今年最後の世代ですね。
ランタナは最近よく見かけるようになった、クマツヅラ科の常緑低木です。私は三十数年前に訪れた沖縄で初めて見ました。江戸末期に観賞用として沖縄と小笠原に移入したのが始まりのようです。蝶類がよく訪れる花ですが、繁殖力が強く要注意外来生物に指定されています。
2016年9月26日月曜日
ツバメシジミ
▲ツバメシジミは、4~10月まで5回ほど発生を繰り返す普通種です。尾状突起があるシジミチョウはたくさんいるのにこのチョウにツバメの名がついたのは、身近にたくさん見られたからでしょうか。これはオスの個体です。
▲せせらぎ公園のハギの花にも、ウラナミシジミと共に吸蜜に訪れていました。
2016年9月25日日曜日
白いカメムシ
▲白いカメムシの正体は、羽化したばかりのクサギカメムシです。この後徐々に色づいてきました。ごく普通に見られるカメムシで、クサギばかりでなく様々な広葉樹や果実などに集まります。成虫越冬です。
2016年9月24日土曜日
紅白のミズヒキ
▲小さな花が、疎らに穂状についているミズヒキ。上半分が赤で下半分が白、これを水引に見立てたのでしょうね。4裂した花弁に見えるのはガクです。
▲小さな葉に、アリが訪れて吸蜜していました。花の蜜は昆虫たちにとって、貴重なエネルギー源です。
2016年9月23日金曜日
こんなところにオンブバッタ
▲長雨が続きます。我が家の小さな駐輪場においたプランター。葉物の野菜を植えていますが、そこでオンブバッタが交尾していました。周囲に草地がないこんな場所でも時々姿を見せてくれます。
2016年9月22日木曜日
ジョロウグモの交接
▲今年も、ジョロウグモの交接を観察しました。去年も9月下旬だったので、ちょうど1年振りです。
▲見たところ、小さな子供がお母さんからおっぱいをもらっているように見えます。この小さいのが雄で、口の近くにある触肢を大きなメスの生殖孔に入れ、精子を注入しているところなのです。小さい雄は不用意に雌に近づくと獲物と間違われてしまうため、雌の脱皮直後で体の動きが鈍い頃合いを見計らって交接するのです。
2016年9月21日水曜日
展翅しなくても・・・マメノメイガ
▲せせらぎ公園、外灯の遮光板にとまっていたマメノメイガです。展翅した標本のような独特のとまり方で光が透けて見え、とてもきれいです。翅を広げた大きさは、12~14ミリ程度。食草はアズキやササゲの花や莢で、ダイズやインゲンマメも食べるようです。成虫は7~10月に出現し、灯りに集まります。
2016年9月20日火曜日
アカタテハとヒメアカタテハの幼虫
▲中里の畑道を歩いていると、ケヤキの小木に何やらアカタテハの幼虫の巣らしきものがありました。去年見つけた場所の比較的近くです。
▲葉を綴っている最中の幼虫を見つけました。アカタテハの幼虫です。他にも数頭見つけました。まだまだアカタテハが健在で嬉しいです。
▲こちらは畑の中のゴボウの葉です。糸で綴られた食い跡が見えます。
▲中にいたのは、ヒメアカタテハの幼虫です。糞もたくさん。幼虫だけ見たら区別ができないほど、アカタテハと似ていますね。
2016年9月19日月曜日
小さな花にコハナバチ
▲小さな花に、コハナバチが訪れていました。この花はヤブランです。早朝に歩き回っても開いている花を見つけられず、日が昇ってから撮影したものです。
▲小さな花は、ヤブランです。ユリ科の花で、大きなユリの花と同じく3枚の花弁(内花被)と3枚のガク(外花被)からなっています。
2016年9月18日日曜日
ノダケの花
▲中里緑地保全地域で見かけたノダケです。セリ科植物なのに、ノダケとは不思議な名前です。立ち姿が野原の竹のようだからという説があるようですが、どうも説得力がありません。牧野植物図鑑には、「漢名の土当帰(どとうき)がなまった」とありますが…。
▲セリ科の花には珍しい濃い紫色の花は、独特の雰囲気を醸し出しています。クロヤマアリが蜜を求めて訪れていました。
2016年9月17日土曜日
ヌスビトハギの実にスジグロシロチョウ
▲せせらぎ公園のススキの穂です。秋風に揺れる穂を見ていると、古の時代から秋の七草の一つとして親しまれてきたことが分かるような気がします。
▲ヌスビトハギの実にとまっていたスジグロシロチョウです。朝早くの撮影です。こうして眠っていたのでしょう。
2016年9月16日金曜日
帰ってきたアキアカネ
▲おばけ山の中に咲くヒガンバナです。柳瀬川沿いの桜並木の下でも、そろそろ見頃を迎えているのではないでしょうか。
▲あたりの空気も少しずつ秋らしさを増してきて、赤とんぼの代表格アキアカネが個体数を増してきました。
2016年9月15日木曜日
イチモンジセセリの吸い戻し行動
▲9月になって個体数を増してきたイチモンジセセリですが、この日は吸い戻し行動を観察できました。イボタの葉の上に白く見えるのは、鳥の糞が落ちた跡です。そこにイチモンジセセリが飛来し、既に乾いてしまった鳥の糞を自らのおしっこ(排泄物)を出して溶かし吸っているのです。鳥の糞の中に残る養分(一説に窒素分)を摂取しているのではないかと考えられています。セセリチョウの仲間でもっともよく見られますが、タテハチョウでも見られます。私は、かつてイチモンジチョウが同様の行動をしているところを観察しました。
2016年9月14日水曜日
キタテハ夏型の産卵
▲せせらぎ公園の一角に、カナムグラの群落があります。そこで、2匹のキタテハ夏型を見かけました。
キタテハは九州以北から北海道南部まで分布し、この辺りでは年4回の発生です。今見られるのは第3化の成虫で、次の世代が秋型になります。
▲どちらも産卵に訪れた雌のようで、カナムグラの若芽を選んで産卵していました。写真はちょっとわかりづらいですが、腹の先を若芽につけて産卵しているところです。カナムグラの群落が刈り取られることがなければ、近いうちに幼虫や蛹も見ることができるでしょう。
2016年9月13日火曜日
アベリアの花にオオスカシバ
▲アベリアの花が芳香を漂わせています。アゲハチョウ、イチモンジセセリなど多くの昆虫たちが蜜を求めて集まります。この日は、オオスカシバとホウジャクが訪れていました。どちらもホバリングしながら蜜を吸うのですが、一つ一つの花が小さいために滞在時間が極めて短く撮影に苦労します。なんとか撮れた1枚です。
オオスカシバは本州以南の日本各地に分布、6~9月に発生します。翅が透明なためにハチと間違われることもありますが、昼行性のスズメガの仲間です。羽化したばかりの個体では翅に灰色の鱗粉がついていますが、飛び立つと剥がれ落ちてしまいます。幼虫は、クチナシにつくあの大きなイモムシです。
2016年9月12日月曜日
ハナアブとオオハナアブ
▲せせらぎ公園のオミナエシの花を訪れているハナアブです。全世界に分布する普通種で、この辺りでは春から晩秋まで見られますが、真夏にはあまり姿を見かけません。幼虫は、水の中にいるオナガウジです。
▲こちらはオオハナアブで、幼虫は同じく水生です。名にオオ(大)とありますが、前種とほとんど同じ大きさです。厳めしい姿ですが、前種同様ウシアブのように刺したりすることはありません。見かける頻度は、あまり多くないように思います。
2016年9月11日日曜日
イタドリの花
▲イタドリ(タデ科)の白い花が、なかなかきれいです。イタドリという名は、薬効の「痛み取り」が由来といわれています。
2016年9月10日土曜日
空堀川畔のアオサギ
▲空堀川の畔を歩くアオサギです。首が灰色なので、まだ若い個体です。このところの台風による増水で、エサとなる小魚がたくさんいるのかもしれませんね。
2016年9月9日金曜日
ミナミトゲヘリカメムシ
▲9月に入って、ミナミトゲヘリカメムシを見かけるようになりました。本種は南方系で、沖縄県ではシークワーサーの害虫として知られているそうです。私が本種に気付いたのは、一昨年の10月です。昨年は10月と11月に見ました。今年はなんと、1月にも観察しました。温暖化の影響で、分布を北に広げているのに間違いなさそうです。
▲コブシの実を吸汁している個体です。
2016年9月8日木曜日
クロアゲハの吸水
▲道路にたまった水を吸っているクロアゲハに出会いました。クロアゲハはアゲハチョウの仲間で、4月から9月ごろまで3回発生します。これは翅が大分傷んでいるので、2化目の個体かもしれません。
今から50年以上も昔の子供の頃に、庭のオイランソウの花に飛来したクロアゲハを思い出します。それは、ふつう後翅の縁に並んでいる赤い三日月形紋が異常に発達し、それも翅の縁ではなく中央部分に広がっていたのです。横山光夫氏の原色図鑑には「ベニモンクロアゲハ」という名が記されていました。その後、そんな異常型は見ていません。
吸水するチョウは多いですが、どれも雄のチョウなのです。性成熟を促進するために、ミネラルの摂取が必要だからと考えられています。
2016年9月7日水曜日
ウラナミシジミ初見
▲せせらぎ公園のハッカの葉の上にとまっているのは、ウラナミシジミです。越冬態は明らかではありませんが、越冬できるのは本州南岸の霜が降りない地域です。世代を繰り返しながら北上し、清瀬では今ごろから数を増します。マメ科植物が食草なので、エンドウ豆を栽培している畑や、ハギの花があるところでたくさん見られます。敏速に飛翔しますが、花によく来るので観察は容易です。
2016年9月6日火曜日
新鮮なタテハチョウ
▲雑木林の縁で出会った、ルリタテハです。新鮮で、羽化したばかりのようです。ルリタテハは年3化で、これは2化めの個体でしょう。次の世代が越冬成虫になります。食草はサルトリイバラやホトトギス、園芸種のユリの葉にも産卵します。
▲こちらも羽化したばかりのような、イチモンジチョウです。イチモンジチョウも年3化ですが、1化めがルリタテハより早い時期なので、これが今年最後の世代になります。食草は、スイカズラです。
2016年9月5日月曜日
セミたちの悲哀
▲金山緑地公園で観察した、羽化に失敗したミンミンゼミです。体が抜けきらないうちに固まってしまったものです。
▲こちらは、空堀川管理道で見つけたアブラゼミです。ミンミンゼミもアブラゼミも5年もの幼虫生活を経て地上に出てきたのに、なんとも悲しい結末です。
▲羽化はしたものの、このように翅が曲がってしまったり、伸び切らなかったりする個体もあります。これでは飛ぶことも出来ず、繁殖行動もままなりません。
▲羽化に成功したとしても、このように蜘蛛の餌食になってしまうこともあります。哀しいことも厳しいことも多い、自然界です。
2016年9月4日日曜日
センニンソウと花粉めあての昆虫たち
▲雑木林の縁で、センニンソウが見事に咲いていました。センニンソウはキンポウゲ科の花で、有毒です。4枚の花弁のように見えるのは、ガクです。名前は、花後に雌しべの花柱が伸びて銀白色の長い毛が密生する様子を、仙人の髭や白髪に見立てたことによります。
▲花には、複数のコアオハナムグリが訪れていました。ハナムグリの仲間は、ハナウド、ノイバラ、そして、センニンソウと、白い花がお気に入りでよく集まりますね。
▲シロスジベッコウハナアブは、結構大きいハナアブの仲間です。幼虫は土の中にあるクロスズメバチの巣の中で、ハチの幼虫の死骸などを食べて育つという変わり種です。
2016年9月3日土曜日
翅が傷んだサトキマダラヒカゲ
▲後翅の下半分がちぎれてしまったサトキマダラヒカゲを、複数見つけました。
▲この部分には最も大きい眼状紋があり、そこを頭と見誤って鳥が攻撃するのです。敵に対抗する攻撃手段を持たないチョウのような昆虫は、こうして敵から逃れるという訳です。
▲サトキマダラヒカゲは4~6月と7~9月の年2化ですから、少しずつ姿を消していきます。この写真はわずかに浸み出したクヌギの樹液に群がっていますが、1匹だけ離れているのはヒカゲチョウです。こちらは、10月ごろまで生き残ります。
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