2015年8月31日月曜日

女郎花に一文字挵

▲せせらぎ公園沿いに植栽されているオミナエシの花が満開です。
 50年ぐらい前の清瀬には、あちらこちらの野や林にこの花が咲いていたのを記憶しています。
 現在は、自生しているものはないようです。
 香りはあまりよくありませんが、イチモンジセセリが数頭訪れていました。
 幼虫は「いねつとむし」といって稲の害虫として知られていますが、現在の清瀬ではイネ科の雑草で発生しています。
 

2015年8月30日日曜日

青松虫

▲木の上からアオマツムシのリーリーリーという賑やかな声が、少しずつ聴かれるようになりました。
 緑色をしていますがコオロギの仲間で、明治時代になって中国大陸から侵入してきたといわれています。
 コオロギというと草むらで鳴いているイメージですが、アオマツムシはめずらしく樹上性です。
 樹上に競争相手がいなかったために、1970年ごろから爆発的に増えました。
 今では、在来の鳴く虫の声を圧倒しています。

▲せせらぎ公園に咲くヒガンバナです。
 この花も中国から帰化したものと考えられています。

背筋雀幼虫

▲せせらぎ公園沿いの道を歩いていたら、目の前を堂々と横切るセスジスズメの幼虫に出会いました。
 蛹化場所を求めて歩いていたのでしょう。
 体側に並ぶ眼状紋は迫力満点。
 鳥は驚きそうですが、イモムシを狩る蜂には効果があるのでしょうか?
 食草はヤブガラシなどですが、サトイモやサツマイモなどの害虫でもあります。

▲こちらはノブドウのツルにとまっている、クルマスズメの幼虫。
 知人が「庭のキウイにたくさんいる」と報告してくれたのも、このクルマスズメです。
 成虫の姿は、7月25日と8月20日に写真を掲載しています。

2015年8月28日金曜日

あとしゃりいちこ

▲7月15日に紹介した、蟻地獄。
 そのときには、巣穴と成虫の姿だけでしたので、きょうは巣穴の底に潜むアリジゴク(清瀬の方言ではアトシャリイチコ)の写真です。
 体長はおよそ1センチ、左側が頭でハサミのような顎があります。
 アリジゴクの巣穴にアリやダンゴムシが落ちると、この顎ではさみ捕えるのです。

2015年8月27日木曜日

アサギマダラがヒヨドリバナを好んで訪れる訳

▲池の平の駐車場近く、ヒヨドリバナにアサギマダラが吸蜜に訪れていました。
 辺りを見回すと、ほかの花にもアサギマダラの姿が見えます。
 ヒヨドリバナやフジバカマには、PAという成分が含まれていて、アサギマダラはそれを目当てに訪れているようなのです。
 アサギマダラはPAを体内に取り込み、天敵の鳥などに対する毒成分として、また、メスを誘う性フェロモンとして役立てていると考えられています。

2015年8月26日水曜日

湯の丸高原のベニヒカゲ

▲8月24日に、小学校の先生方10人と湯の丸高原池の平湿原の自然観察に行ってきました。
 途中小雨が降っていたのに、地蔵峠に近づくころには青空が見え始め、池の平の駐車場に着いた時には日も差してきて天候には恵まれました。

▲見晴歩道を歩くと、たくさんのベニヒカゲが出迎えてくれました。
 マツムシソウもたくさん咲いていて、次から次へとベニヒカゲが訪れていました。
   
▲ジャノメチョウの仲間は地味な装いのものが多いのですが、ベニヒカゲは蛇の目紋を囲むオレンジ色の帯が印象的ですね。
 ノアザミの花に、もぐるようにして吸蜜しています。

▲アキノキリンソウで吸蜜しているのは、雌のチョウです。
 今が最盛期のベニヒカゲは、長野県・群馬県の天然記念物に指定されています。

▲1頭のチョウがハクサンフウロの花で吸蜜しているところに、もう1頭が飛来しました。
ベニヒカゲは高山蝶の一つに数えられており、本州では標高が1,500メートル以上の高地で見られます。
 ここ池の平湿原を囲む見晴歩道は、標高が2,000メートル以上あります。

2015年8月25日火曜日

油蝉

▲私のうちの近くの雑木林では、今アブラゼミが盛んに鳴いています。
 ツクツクボウシ、ミンミンゼミ、ヒグラシも鳴きますが、アブラゼミが一番多い。
 名前の由来は、鳴き声が熱した油が撥ねたり食材を揚げたりするときの音に似ているという説が有力なようですが、清瀬では昔から「大蝉」と呼んできました。
 何しろ数が多いので見慣れたセミですが、翅が不透明なセミは世界的には珍しいようです。
   
▲上の写真のように、根元にとまっている個体も多く見ます。
 下の方が少し気温が低いようで、あまり暑すぎるのはセミも苦手なのかもしれません。

▲細い枝で鳴いていいる雄のアブラゼミです。
 雌を呼ぶために鳴いているのでしょうが、雄と雌が出会っている場面にはなかなか遭遇できません。




2015年8月24日月曜日

赤筋金亀虫

▲ウドの葉上に、ハナミズキの木からカメムシが飛来しました。
 金緑色の地に、赤い筋模様のあるアカスジキンカメムシです。
 この美しい金緑色は、生きているときだけのものです。
 成虫が見られるのはほぼ8月までで、以降は幼虫の姿が目立つようになります。

2015年8月23日日曜日

根黄蜻蛉

▲中里の畑道沿いにある金柵上にとまっている赤トンボ(アカネ属のトンボ)です。
 翅の付け根が黄色(オレンジ色)であることが、名前の由来です。
 腹部がかなり赤くなっていますが、雄は全身が赤くなります。
 真っ赤になるとショウジョウトンボにも似ていますが、胸部のくっきりした黒条があるのは、ネキトンボです。
 関東以西に生息するトンボですが、清瀬で見たのは初めてです。
 アキアカネより、体格ががっちりした印象です。

2015年8月22日土曜日

金毛穴蜂

▲チャの木を覆うように茂っているヤブカラシの花を、次から次へと飛び回る大きなハチがいました。
 体長が3センチ余りもある黒いハチです。
 クロアナバチに似ていますが、顔も胸も白い毛ではなく黄色い毛でおおわれています。
 南方系のキンモウアナバチです。
 清瀬では初めて見ましたが、これも温暖化の影響でしょうか。
 主にクダマキモドキを狩るといいます。
 ここしばらく、清瀬でクダマキモドキを見ていないので、このハチが棲息できるほどにクダマキモドキも復活するといいのですが…

2015年8月21日金曜日

秋の気配

 腰の状態がやや快復してきたので、フィールドワークを再開しました。

▲林のエゴノキの幹を、体を揺らしながら登るハラビロカマキリの成虫です。
 林の縁などでよく見られ、翅にある白紋が目印です。

▲ヤブカラシの花では、数頭のイチモンジセセリが蜜を吸っていました。
 秋になると一気に個体数を増すセセリチョウです。
 2週間も外を歩かないでいたら、季節がずいぶん進んでいました。

2015年8月20日木曜日

灯に集まる蛾

▲朝、林の縁の外灯近くにとまっていた2頭の蛾。
 夜間、灯りにひかれてきたものでしょう。

▲上にとまっているのは、開張が5㎝前後のリンゴツノエダシャク。
 幼虫がリンゴの葉の害虫であることからの和名と思われますが、広食性なので清瀬でも見られます。

▲下は、クルマスズメです。
 前翅の太い筋が特徴で、7月25日のブログで樹液に飛来した本種を紹介しています。

2015年8月19日水曜日

艶青亀虫

▲ヤブカラシの葉の上に、ツヤツヤしたまあるい昆虫の姿が…
 ツヤアオカメムシの幼虫です。
 もともとは南方系のカメムシですが、温暖化の影響か、関東地方でも普通に見られるようになりました。
 クワやスギに集まり、ミカンやカキの実も加害します。

2015年8月18日火曜日

粉吹黄金虫

▲林の縁のツル性の植物に、甲虫が飛来しました。
 ノブドウの葉の陰から立派なひげ(触覚)がのぞいています。

▲動き始めたのを見ると、コフキコガネでした。
 体が黄褐色の短毛に覆われているので、粉が吹いているように見えます。
 ノブドウには、既にドウガネブイブイやアオドウガネの先客がたくさん。
 きっと、おいしい葉なのでしょうね。

2015年8月17日月曜日

小葉擬宝珠と藪蘭

▲中里緑地の林床にひっそりと咲いているコバギボウシです。
 明るい湿地に生えるユリ科の多年草ですが、中里緑地の暗い林の中で頑張って咲いています。

▲こちらも、林床に咲くヤブランです。
 同じユリ科の多年草といっても、前種とは趣がずいぶん違いますね。
 こちらは、もともと林の中に咲く花で、公園などにも植えられています。
 根茎は咳止めや解熱などの漢方薬として用いられるそうです。

2015年8月16日日曜日

精霊飛蝗

▲草むらを歩いていたら、足もとからキチキチキチとショウリョウバッタが飛び立ちました。
 草の間に下りると、見事に草の間にとけ込み姿が隠れます。
 名の由来は、精霊流しの船に似た形という説と、精霊会(=盂蘭盆)のころによく目にするという説があるようです。
 清瀬では、夏から秋にかけて広い範囲で普通に見られるバッタです。

2015年8月15日土曜日

野外の守宮

▲夜の樹液を観察していて、近くに守宮(ヤモリ)を見つけました。
 ヤモリというと、家の中で見かけることが多いのですが、もちろん野外にもいます。
 樹液や外灯の近くに現れ、そこに集まる小さな蛾やモリチャバネゴキブリなどの昆虫類を捕えて食べるのです。
 指先が吸盤状になっているので、木の幹でもスルスルスルと素早く上手に移動できるのです。

2015年8月14日金曜日

擬車飛蝗

▲林の縁で、クルマバッタモドキに出会いました。 
 名前は、クルマバッタ(車飛蝗)に似て非なるもの、クルマバッタのまがいものというような意味ですが、清瀬ではクルマバッタよりずっと普通に見られる身近なバッタです。
 胸背部のX型の模様が見分けるポイントになります。
 また、後翅は黄色で外側に半月状の黒帯があり、翅を広げて飛ぶときれいです。
 体色は、上の写真のような茶褐色のものと、下の写真のような緑色型があります。

▲茶褐色型が枯葉の上にとまり、緑色型が緑の葉の上にとまっています。
 自分の体色をちゃんとわきまえていて、周囲にとけ込む保護色となるような場所を選んでいるようです。

2015年8月13日木曜日

蝉宿蛾

▲朝の雑木林を歩いていると、ヒグラシの雌が目にとまりました。

▲腹に白いものがついているのが見えます。
 セミヤドリガの幼虫でしょうか。

▲セミに元気がなさそうに見えたので、捕まえてみると、やはりセミヤドリガの幼虫でした。
 白い蝋物質に覆われている、まるまると太った幼虫です。
 もそもそ動いている様子を見ると、右のほうが幼虫の頭です。
 よく見たのですが、どうやってセミの体液を吸っているのかわかりませんでした。
 セミヤドリガは、セミの成虫に寄生して2週間ほどで蛹化するようなので、これもまもなく蛹化するのでしょう。

2015年8月12日水曜日

蜩の悲劇

▲ヒグラシが、幼虫の脱皮殻にぶら下がったまま、小さなアリに襲われてボロボロになっています。
 アリがたくさんいる木の幹に登って、羽化しようとしたものでしょう。
 小さなアリは、シリアゲアリの仲間のようです。
 ヒグラシの幼虫の地中生活は何年なのか解明されていないようですが、いずれにしても数年の地中生活の後地上に出てきたものの、このように羽化の最中に天敵に襲われたりなんらかの事故に遭ったりして、成虫になれないセミも少なからずいるものと考えられます。
 自然の厳しさを垣間見る思いです。

2015年8月11日火曜日

小諸高原美術館

8月9日、小諸高原美術館を訪ねました。
ここでは、8月8日~9月6日の期間、「海野和男の昆虫写真展」と「第1回 生きもの写真リトルリーグ」が開催されています。

▲午後2時から、海野さんご自身によるギャラリートークが行われました。
 世界各地で撮られた素晴らしいカマキリやチョウなどの写真作品について、興味深いお話を聞きながら作品を鑑賞することができました。

▲ギャラリートークの後には、海野さんの作品の前でコンサートも開催されました。
 今泉由香さんの歌と、真辺雄一郎さんのアコースティックギターの演奏は、自然にかかわる選曲でとても楽しめ、心に響くものでした。(CDを買ってきました)

▲小諸高原美術館のある飯綱山からは、浅間山系の山々が見渡せました。
 美術館の入館料は500円でしたが、写真展、コンサート、そしてきれいな景色と、何倍も楽しむことができました。


2015年8月10日月曜日

栂池自然園

▲8月7日、標高1,900~2,000メートルに広がる栂池自然園を訪ねました。
 この地域に多い「つがの木(オオシラビソ)」と、湿原全体を「池」になぞらえて、「栂池」という地名になったといわれています。

▲白馬連峰の山々を背景に、ニッコウキスゲが咲く栂池自然園。

▲クルマユリは、葉が輪状につく可愛らしいユリの花です。

▲雪渓が残る山並みを背景に、コバイケイソウが咲いているのも高原ならではの眺めです。

▲大きくて黒っぽいマイマイの一種。

▲モウセン池には、中部以北の高層湿原に棲むカオジロトンボがたくさん見られました。

▲カオジロトンボは、その名が示すように顔が白い。
 幼虫期間は、2年です。

▲シシウドの花粉を食べていたのは、山地性のフタスジハナカミキリです。

▲チョウは、アサギマダラが飛翔するのを見かけたほかは、ノリウツギの花の上で休むキアゲハを撮っただけでした。
 全行程5.5kmをおよそ3時間で歩いた後、栂池山荘で食べたサルナシソフトクリームがおいしかった。

2015年8月6日木曜日

白条青夜盗蛾

▲キシタバが飛び去った後に来たのは、シロスジアオヨトウです。
 開張5㎝ぐらいなので、結構存在感があります。
 翅の緑色も美しいです。
 昼間、地衣類の生えた幹にとまっていると、保護色になるのでしょう。
 今朝同じ樹液を訪ねてみると、蛾に替わってルリタテハが来ていましたが、すぐに飛び去ってしまいました。

2015年8月5日水曜日

黄下翅蛾

▲2週間ぶりに、夜の雑木林を訪れました。
 カブトムシの雄はすっかり姿を消し、樹液に来ているのは雌ばかりでした。
 樹液も、前回チェックした時には出ていなかった場所に出ており、白い泡になるほど発酵が進んでいました。
 カブトムシ雌2頭のすき間に口吻を挿し込んでいるのは、キシタバです。
 後翅の鮮やかな黄色は見せてくれませんでした。
 また挑戦したいと思います。

2015年8月4日火曜日

葉隠の術

▲ササの葉を綴って隠れていたのは、セセリチョウの幼虫です。
 写真は、綴ってあった葉をちょっと失敬して開いてみたものです。
 幼虫は、2センチ足らず。
 コチャバネセセリでしょうか。