2020年9月30日水曜日

ツリフネソウと昆虫たち

▶清瀬唯一の自生地で、ツリフネソウが見頃になっています。茎の先にぶら下がるように横向きに咲く花の長さは、3~4㎝です。
▶ツリフネソウの花畑の上を数匹のトラマルハナバチが飛び交い、代わる代わる花を訪れていました。2枚の花びらが前の方に出ていて、トラマルハナバチの足場になります。よく見ると、花びらには、ハナバチたちがとまって傷つけた痕跡が残っています。
▶トラマルハナバチが、奥のカールした距にある蜜を求めて潜り込みました。太い筒状になっているのは萼で、直径1㎝以上あります。ここを出入りするとき、ハナバチの背中は筒内の上部にある雄しべと雌しべに必ず接触し、送粉者としての役目をすることになるのです。
▶人の手による環境保全活動と、マルハナバチによる送粉によって、1年草のツリフネソウが、毎年のように美しい花を咲かせることができるのです。
▶ツリフネソウの葉には、ベニスズメの亜終齢幼虫がとまっていました。脱皮すると終齢幼虫になります。




 

2020年9月29日火曜日

バッタとマメハンミョウ

▶金山調節池の草地には多くのバッタ類が生息しています。これはクルマバッタモドキです。
▶今の季節に一番目立つのは、このトノサマバッタです。草地の小道を歩くと足元から飛び出し、遠くまで飛んでいくのがトノサマバッタです。
▶これは小さめのヒナバッタです。芝地を歩くと、たくさんとび出してきます。
▶トノサマバッタと同じぐらい大きいのは、ツチイナゴです。トノサマバッタほど遠くへは飛びません。バッタ類で唯一成虫で越冬します。
▶バッタ類が高密度で生息する場所で見られるのが、甲虫類のマメハンミョウです。体内に毒成分をもつツチハンミョウの仲間で、幼虫はバッタの卵に寄生します。撮影はすべて9月21日です。
 

2020年9月28日月曜日

シロバナサクラタデの花

▶金山緑地公園の木道付近で咲く、タデ科の多年草シロバナサクラタデです。華やかさはそれほどありませんが、湿地以外では見られないめずらしい花です。
▶雌雄異株で、これは雄花です。花の直径は4㎜ほどで、花びらのように見える萼が5つに裂けます。
 

2020年9月27日日曜日

キアゲハの求愛飛行

▶金山調節池で、キアゲハの求愛飛行を観察しました。写真上の大きめのメスに下のオスが求愛しています。後ろになり前になり、もつれるように飛びながら求愛していました。
 

2020年9月26日土曜日

イヌコウジュの花

▶金山緑地公園に咲いていたのは、イヌコウジュのかわいらしい花です。イヌコウジュは「香薷(こうじゅ)に似るが香薷にあらず」という名です。同じシソ科のナギナタコウジュには強い香りがあり、乾したものを香薷といいますが、イヌコウジュには香りがあまりありません。
 

2020年9月25日金曜日

コオロギ

▶『怪談』で知られる明治時代の文学者小泉八雲の作品に『虫の音楽家』という随筆があります。その中の『蟋蟀』にある記述から。「夜の歌い手である蟋蟀には、多くの種類がある。蟋蟀という名前は、「キリキリキリキリ、コロコロコロコロ、ギイイイイイ」という鳴き声から由来している。(後略)」

 金山調節池では、さまざまなコオロギの声が聞かれるようになりました。「コロコロリー――」と美しい声を響かせているのは、エンマコオロギです。(ただし、上の写真は鳴かないメスです)

▶「リイリイリイ…」と鳴いていたのは、ツヅレサセコオロギでしょうか。これまたメスの写真しか撮れませんでした。
 前出の作品から「蟋蟀に関する興味深い事実は、八世紀の中頃に編纂された日本最古の『万葉集』という歌集に、この虫の名が出ていることである。次の歌は、優に一千年以上も昔の読み人知らずによる作品である。
 庭草に村雨降りてこほろぎの鳴く音聞けば秋づきにけり」
 

2020年9月24日木曜日

毛虫2題

▶自宅に植えてあるホトトギスの葉が、見事に食い荒らされていました。食べたのは、丸々と太ったトゲだらけの幼虫です。大きさは4㎝あまり。野草のサルトリイバラや植栽されたユリ類の葉も食べます。成虫は、ルリ色の翅をもつルリタテハです。
▶金山調節池のヤナギの木の上にいたのは、黒、白、橙色のコントラストが美しい幼虫です。大きさは4.5㎝ほど。蛹になるための場所を探して歩いていたものと思われます。成虫は、鳶色の翅をもつトビイロトラガです。このあたりでの食草は、おそらくヤブカラシでしょう。

 どちらもちょっと強面ですが、毒はありません。

 

2020年9月23日水曜日

南方から北上してきた昆虫たち

▶半年ほどかけて南方から北上してきている昆虫といえば、まずはこのウスバキトンボです。遠く中国南部や台湾方面から海を渡り、世代をくり返しながら北上してきます。金山調節池などの上空にはまだ群れ飛ぶ姿が見られます。
▶もう一つの代表選手は、ウラナミシジミです。こちらは国内の温暖な地方から、やはり世代をくり返しながら北上してきます。せせらぎ公園などでは、ハギやクズが茂るあたりを飛び交っている様子が見られます。この写真のように交尾をして、ハギなどに産卵する姿も見かけます。
 どちらも清瀬あたりでは卵が冬を越せずに死に絶えると考えられてきました。しかし、ここまで温暖化が進行していると、なかには冬を生き延びているものがあるかもしれません。

 

2020年9月22日火曜日

せせらぎ公園のナガエミクリ

▶せせらぎ公園の流れの中に自生する水草で、ミクリ科(またはガマ科)のナガエミクリと思われます。湧水河川に自生する水草ですが、せせらぎ公園の流れは湧水ではなく、地下水の汲み上げです。
▶茎の上部が花序となって、上側に雄花がついています。
▶下側には、雌花がついています。
▶ミクリとは実栗で、実が栗のイガのように見えることが由来です。下側の実に柄があるのが見えます。これがナガエ(長い柄)ということのようです。生息に適した環境が減少していることから、東京都の準絶滅危惧種に指定されています。
 

2020年9月21日月曜日

ジョロウグモの巣

▶ジョロウグモに限らず、クモが張る円形の網は芸術品だと思います。
▶ジョロウグモは、オニグモのように毎日張り替えることをせず、半分ずつ張り替えるといいます。獲物がかかって壊れたときは別でしょうけれど。この獲物は、サトキマダラヒカゲというチョウです。
▶右下の木の枝から左上の方向に斜めに見える2本の糸は丈夫な繋留糸で、円形の網の枠糸と足場をしっかりとつないでいます。
 

2020年9月20日日曜日

超望遠レンズでチョウを撮る

▶あまり使わないレンズを処分して100~400㎜の望遠レンズを手に入れました。マイクロフォーサーズなので、35㎜換算だと200~800㎜レンズになります。そのほぼ望遠端ではじめてチョウを撮影してみました。キクイモの花で吸蜜するモンシロチョウです。
▶アカツメクサで吸蜜するモンキチョウです。以上の2枚は、金山調節池での撮影です。
▶せせらぎ公園で撮影したウラナミシジミです。きのうはたくさんの個体が飛んでいました。
▶ウラギンシジミのメスです。翅を閉じているとオスと区別できませんが。これは望遠端でも大きく写せなかったので、デジタルテレコン(×2)を併用して撮影しました。こんなに長い焦点距離なのに手持ちで撮影が可能なんて、かつては考えられませんでした。


 

2020年9月19日土曜日

カナムグラの群落

▶せせらぎ公園のソクズが群落を作っていたところに、今度はカナムグラの群落ができていました。
▶百人一首にある恵慶法師の歌「やえむぐら 茂れる宿のさびしきに 人こそ見えね秋は来にけり」に詠われている「やえむぐら」は、このカナムグラのことだと考えられています。

▶カナムグラの葉を食草とするキタテハが数匹、群落の上を舞っていました。
▶葉には、キタテハの幼虫や前蛹も見られました。この前蛹、ちょっと違和感があるのは、ふつう葉を綴った巣の中にあるのですが…むき出しになっています。

 

2020年9月18日金曜日

オオカマキリとキアゲハ

▶オニドコロの葉上にオオカマキリが休んでいました。休んでいるというのは、まだ顔に雨粒がついたままだったので…。
▶オニドコロが絡みついているノダケの茎には、キアゲハの蛹がついていました。先日撮影した幼虫が蛹化したものでしょう。
▶両者の位置関係はこんな感じです。これだけ離れていると、動かない蛹を獲物とは認識しないでしょう。
 

2020年9月17日木曜日

コヒガンバナ(?)の結実

▶せせらぎ公園のコヒガンバナ(?)が結実していました。これは、9月4日の撮影です。
▶これは花が咲いていたときの写真で、8月6日の撮影です。
▶実を裂いてみると、中には黒い種が入っていました。
▶この実は一つの部屋に4個の種が入っていました。
▶種の大きさはこのぐらいで、7~8㎜といったところです。
 

2020年9月16日水曜日

カラスウリの花と虫

▶早朝にしぼみかけたカラスウリの花です。暗くなると開花するカラスウリの花は、レースのような花びらがなんとも神秘的です。花にはスズメガなどが吸蜜に飛来し、送粉者としての役割を果たします。
▶葉には、クロウリハムシの姿を多く見かけます。葉に円い食べ痕がありますが、まず、円形に葉に傷をつけてから中を食べるからです。円形に傷をつけるのは、葉が出す苦味などの防御物質を遮断するためと考えられています。
 

2020年9月15日火曜日

行く夏を惜しむ虫たち

▶日差しの下はまだ暑いですが、朝夕は涼しい空気に包まれるようになりました。せせらぎ公園のほとりで、タマムシの姿を見つけました。
▶前足の掃除をする仕草に、行く夏を惜しむ寂しさを感じました。
▶中里緑地では、枯れかけた樹液にたたずむノコギリクワガタに出会いました。あたりはコオロギの声に包まれ、秋の気配が漂っていました。


 

2020年9月14日月曜日

ギンミズヒキの花

▶白い花のミズヒキをギンミズヒキといいます。ミズヒキのシロバナ品種です。
▶紅白のミズヒキも美しいですが、シロバナもなかなかのものです。
▶体長1~2㎜のヒメアリの仲間が吸蜜に訪れていました。小さな花には、アリが訪れることも多いのです。